腫瘍マーカーは、がんを早期発見できるのでしょうか?
人間ドックを受ける際、「腫瘍マーカーも全部チェックしておきたい」と考える方がいらっしゃいます。たしかに、「がんが見つかるかもしれない」と思えば、つい追加したくなるのが人情です。
人間ドックの目的は、無症状の段階で身体の異常を見つけること。しかし実際のところ、腫瘍マーカーは、無症状の状態でのがんの早期発見には必ずしも適していないのです。
腫瘍マーカーは万能ではありません
よく使われる腫瘍マーカー(CEA、CA19-9、CA125など)は、がん以外でも数値が上がることがあります。たとえば:
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加齢
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喫煙
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炎症(膵炎・胆管炎など)
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良性腫瘍や月経などの生理的変化
つまり、数値が高くても「がんではない」ことが多く、逆にがんがあっても正常値を示すこともあるのです。
このような理由から、腫瘍マーカーだけでがんを早期発見するのは難しいとされています。
唯一、有効性が示されているのは「PSA」
その中でも前立腺がんに対する「PSA検査」は比較的信頼性が高く、前立腺がんの早期発見に役立つ可能性があるとされています。特に、一定の年齢以上の男性においては、有用とされるケースもあります。
一方で、その他の腫瘍マーカーは、がんの診断後に行う治療効果の判定や再発の経過観察には活用されますが、無症状の方を対象としたスクリーニング目的では推奨されないのが現状です。
人間ドックの検査項目もご相談いただけます
検査は、「多ければ多いほどよい」というものではありません。本当に大切なのは、自分にとって、いま必要な検査は何かを見極めることです。
当院では、腫瘍マーカーを含めた人間ドックの検査項目についても、個別のご相談を受け付けています。