咳が止まらないときに知っておいてほしいこと
「風邪は治ったのに、咳だけがずっと続くんです」
そんな経験、ありませんか?
風邪(感冒)の症状は、たいてい数日から1週間程度でおさまります。
発熱や喉の痛みが1週間以上続くことはあまりなく、多くは自然に軽快していきます。
でも、「咳」だけは別です。
実は、風邪のあとに咳が2週間以上続くことはよくあります。
これを医学的には「感冒後咳嗽(postinfectious cough)」と呼びます。
風邪のウイルスが体から去ったあとでも、気道の粘膜がしばらく過敏な状態になり、
ちょっとした刺激でも咳が出やすくなる――そんな状態です。
咳止めや去痰薬は効くの?
「とりあえず咳止めをください」という方も多いですが、
特に感冒後咳嗽においては、咳止めや去痰剤の効果は限定的と考えられています。
咳というのは、ときに体が回復するまでの時間を必要とする症状でもあります。
「何かすぐ効く薬を飲めば治る」とは限らない――それが咳の難しいところです。
まさに、「咳は時が来ないと止まらない」こともあるのです。
ちなみに、はちみつには一定の咳をやわらげる効果があるという報告もあります。
(※ただし、1歳未満の乳児には与えないでください)
長引く咳の原因はいろいろ
風邪症状が治まったあとに咳だけが続くケース以外にも、
長引く咳にはさまざまな原因が考えられます。たとえば:
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咳喘息(cough variant asthma)
喘鳴(ゼーゼー)や息苦しさはなく、夜間や明け方に咳が目立つタイプの喘息です。 -
GERD(胃食道逆流症)
胃酸が喉や気道まで逆流し、刺激となって咳を引き起こすことがあります。 -
後鼻漏(こうびろう)
鼻水が喉の奥に流れ込み、咳の原因になることがあります。
一見「ただの咳」に見えても、原因によって必要な検査や治療は異なってきます。
不安なときは、無理せずご相談を
咳が長引くと、不安になりますよね。
ですが、咳の多くは深刻な病気ではなく、時間とともに回復するケースがほとんどです。
それでも、「長引いていて心配だな」と感じたときには、
無理せず、ご相談くださいね。