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【欠乏シリーズ 第三弾】その貧血、ビタミンB12が足りないかもしれません

[2025.06.10]

― 赤血球の「大きさ」で見分ける、2つの原因 ―

「貧血」と聞くと、前回ご紹介した「鉄分が足りないのかな?」というイメージを持つ方が多いかもしれません。

たしかに鉄欠乏は、非常に多い貧血の原因です。
でも実は、同じ「貧血」でも、赤血球の大きさを調べることで、異なる原因が見えてくることがあります。

今回は、鉄欠乏性貧血ビタミンB12欠乏性貧血の違いを、わかりやすくご紹介します。

🔻 鉄が足りないと、赤血球が「小さく」なる

私たちの体は、鉄を使って赤血球の中の「ヘモグロビン」を作っています。
このヘモグロビンが、酸素を全身に届ける重要な役割を担っています。

鉄が不足すると、ヘモグロビンが十分に作れず、中身がスカスカの「小さな赤血球」になります。
これが「鉄欠乏性貧血(=小球性貧血)」です。

🔻 ビタミンB12が足りないと、赤血球が「大きく」なる

一方、ビタミンB12は赤血球を正常に分裂・成熟させるために必要な栄養素です。
これが不足すると、細胞分裂がうまく進まず、未熟なまま大きくなってしまった赤血球が作られます。

これが「ビタミンB12欠乏性貧血(=大球性貧血)」です。

🧠 特徴的なのは「神経の症状」

ビタミンB12が不足すると、貧血だけでなく神経症状が現れることがあります。

  • 手足のしびれ

  • 歩きにくさ・ふらつき

  • うつっぽさ・集中力低下・記憶力の低下 など

鉄欠乏では起こらない、ビタミンB12欠乏特有のサインです。

🌿 ビタミンB12が不足しやすい人は?

  • 高齢の方(胃酸や内因子の分泌が減るため)

  • 胃の手術を受けた方(特に胃全摘後)

  • ベジタリアン/ヴィーガン(B12は動物性食品に多く含まれる)

🧪 血液検査で「赤血球のサイズ」がわかります

血液検査には、MCV(平均赤血球容積)という項目があります。
この数値を見れば、赤血球の大きさから貧血のタイプが推測できます。

  • MCVが小さい → 鉄欠乏の可能性あり

  • MCVが大きい → ビタミンB12欠乏の可能性あり

🔍 まとめ

貧血にはいくつかのタイプがあります。
見た目では分からなくても、血液検査を行うことで、原因を正しく見極めることができます。

「鉄が足りないだけ」と思い込まず、赤血球の「サイズ」にも注目してみることが大切です。

当院では、症状や血液データに応じて、必要な検査・治療をご提案しています。

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