🩺 生活習慣病シリーズ 第一弾:高脂血症
コレステロールが高いと言われたら?
「コレステロール高いですね」と言われても、自覚症状は何もない。
だからつい、なんとなく放置してしまっている――そんな方、実はとても多いです。
でも、コレステロール値の異常は、将来の「心筋梗塞」や「脳梗塞」と密接につながっています。
今回は、なぜコレステロールの治療が大切なのか、医師としての本音でお話しします。
無症状だけど、放置していいわけじゃない
高脂血症(脂質異常症)は、基本的には自覚症状がありません。
体調が悪くなるわけでもなく、日常生活に支障が出ることもない。
だからこそ、「まあ大丈夫かな」と考えてしまう人が多いのです。
でも実際には、静かに少しずつ、血管の内側に負担がかかっています。
そしてある日突然、心筋梗塞や脳梗塞といった重大な病気を引き起こすことがあります。
まずは生活習慣の見直しを
コレステロール値を改善するための基本は、生活習慣の見直しです。
ただ、それでもなかなか改善しない方も少なくありません。
そのときに検討するのが、薬による治療です。
スタチン(薬)を使う意味
コレステロール治療の中心になるのが、スタチンと呼ばれる薬です。
これは、ほぼ確実にコレステロール値を下げる効果があり、とても優秀な薬です。
ただし、薬で数値が下がっても、それは“治った”わけではありません。
あくまで、「コントロールしている」状態です。
薬をやめれば、またコレステロールは上がります。
そのため、長期的な内服が必要になることが多いのです。
薬を飲む目的は「将来の病気を防ぐこと」
コレステロールの薬を飲む目的は、ただ一つ。
心筋梗塞や脳梗塞などを予防することです。
「数値を良くすること」が目的ではなく、
将来の病気を防ぐことこそが本質です。
実際に薬を飲むかどうかは、年齢や性別だけでなく、次のような要素を組み合わせて総合的に判断します。
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高血圧があるか
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糖尿病があるか
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喫煙習慣があるか
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心臓や脳の病気の家族歴があるか
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HDL(善玉コレステロール)の値
なお、コレステロールの薬を飲んでも、体調がよくなる実感はないことがほとんどです。
それでも、将来の病気を防ぐという意味では重要な役割を果たしています。
高齢者にも重要な理由
「年を取ったらもういいや」と思われるかもしれませんが、高齢になっても予防は大切です。
たとえば、脳梗塞を起こすと半身麻痺や言語障害が残り、介護が必要になることも少なくありません。
ご自身の健康だけでなく、ご家族の生活にも大きな影響が出ます。
だからこそ、元気で自立した生活を続けるための予防として、
高齢になっても治療には価値があるのです。
まとめ
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コレステロールが高いと言われたら、まずは生活習慣の見直しを。
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それでも下がらなければ、薬も選択肢として検討を。
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薬の目的は、健康な血管を保ち、未来の大きな病気を防ぐこと。
目指すのは、「長く健康で、自立して暮らす」こと。
そのために、「今」できることを大切にしていきましょう。
📣 ご相談ください
コレステロールが高いと言われたけれど、
「薬はちょっと不安…」「まだ相談するほどじゃないかも…」という方も、
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